初めての職場だと、どんな仕事が待っているか心配になりますよね。
私は今の病院に勤める前、委託給食会社で栄養士として3年、管理栄養士として2年の合計5年間働いていました。
ちなみに勤め先は、全国に支店のある、委託給食会社では最大手の会社です。
今回は委託給食会社で働いた経験がある私が、実際にやっていた栄養士の仕事内容について話します!
Contents
委託給食会社の栄養士1年目の仕事内容
委託給食会社の栄養士の仕事は、大きく分けて3つあります。
- 衛生管理
- 栄養管理
- コスト管理
栄養士1年目は調理現場で盛り付けや食器洗浄などをしながら、栄養士としての仕事を学んでいきます。
最初に覚える仕事内容は、①衛生管理になります。
もちろん、職場の状況によっては、いきなり②栄養管理や③コスト管理をすることもあります。
今回は①衛生管理を中心にみていきましょう。
栄養士1年目の仕事:職場の衛生管理を徹底する

委託給食会社の栄養士の職場は、おもに病院や老人介護施設、学校や社員食堂などになります。
給食会社だけに限らず、飲食を扱う職場であればどこでも言えることですが、何よりも大事なのが『衛生管理の徹底』です。
食中毒を発生させてしまえば、信用問題になります。
また最悪の場合、人が亡くなることもあるので、十分に注意しなければなりません。
栄養士が注意しないといけない衛生管理は、以下の4つになります。
- 調理場内の清掃
- 食材の消費期限・賞味期限、開封後の使用期限の確認
- 提供する食事の管理
- 調理スタッフの衛生確認
1. 調理場内の清掃をする

毎日食事をつくる調理場は、汚れや食材が落ちていたりと、害虫にとってはエサの宝庫です。
つまり、毎日掃除をして周りを片付けていないと、すぐにハエやゴキブリが大量発生してしまう場所になります。
そして掃除は、調理スタッフが中心となってやってほしいところですが、なかなかそうはいきません(-_-)
頭では分かっていても、みんな掃除は嫌いなので・・・。
そこで栄養士の出番です!
積極的に調理スタッフに声をかけて、一緒に掃除をしていきます。
もともと掃除の習慣がない現場の場合、最初はイヤイヤで動いてくれないこともあります。
そんな場合は、先輩栄養士や調理スタッフのトップと話し合って、あらかじめ掃除予定表をつくるようにします。
月:食品庫
火:冷蔵庫・冷凍庫
水:食器保管庫・食器乾燥庫
木:調理室内の床
金:グリストラップ
グリストラップ・・・下水道に直接食用油や食物の脂肪、残飯や下処理の際の野菜くずなどが流出することを防ぐ、阻集器のひとつのこと。
掃除こそ、食中毒予防の基本のひとつ!
最初はにおいは臭いし、汚れるしで嫌かもしれませんが、自分の成長にもなるので積極的に取り組みましょう。
2. 食材の期限を見るクセをつけよう

気を付けないといけないのが『賞味期限・消費期限切れ』。
毎日食事をつくる中で徐々に食材が余ってくる以外にも、予備として多めに食材を発注することもしばしば。
そのため、食品庫内や冷蔵庫、冷凍庫に食材が溢れてしまうことがあります。
食品庫内や冷蔵庫・冷凍庫がいっぱいになってくると、「先入れ・先出し」がやりにくくなるので、新しい食材を手前に置いてしまい、古い食材が残ってしまいがちになります。
定期的に掃除をしながら、食品庫や冷蔵庫・冷凍庫の食材の片付けもしていきましょう。
また、私が勤めていた給食会社には『開封後の使用期限』が設定されていました。
たとえば、家で麻婆豆腐の素を購入して作ったときに、開封した麻婆豆腐の素が残ってしまった。
こんなとき、麻婆豆腐の素はいつまで使えるでしょうか?
賞味期限いっぱいまで置いておくのは、無理がありますよね。
家庭でも密封容器に入れて冷蔵保管したとしても、1週間程度ではないでしょうか。
給食会社では基準が厳しく、2日で廃棄しなければいけません。
一方でひじきなどの乾物は、開封してもすぐダメになるわけではありませんよね。
食材によって異なるので、全部の使用期限を覚えるのは大変です。
目に入った食材で「これ、最近使ってないな」というものだけでもいいので、チェックする習慣をつけましょう。
3. 食事の温度管理や異物混入のチェック

就職して1年目の栄養士は、基本的に調理室内での仕事がメインとなります。
そのため、食事の盛り付けや洗浄、状況によっては調理を担当することも出てきます。
その中で注意したいのは、食事の温度管理と異物混入のチェックです。
食事の温度管理に関しては、厚生労働省から出ている『大量調理施設衛生管理マニュアル』をよく読みましょう!
厚生労働省:大量調理施設衛生管理マニュアル
異物混入は、毛髪やビニール袋、サランラップ片などがあります。
見つけやすいタイミングは、食器に料理を盛り付けているときです。
ビニール手袋を付けて盛り付けているので、実際に食材を触るため「何か固いものに触った」「食材が切れてなくて、大きいものが混ざっている」というのがすぐに分かります。
また、異物混入は取り除けば終わりではありません。
盛り付け中に入った毛髪は、加熱されているわけではないので細菌がいっぱい!
つまり、「毛髪が入ったことで食事が最近に汚染された」という状態になっているのです。
調理スタッフの中には「取ったから大丈夫でしょ」と言う人もいますが、あなたはどう思いますか?
細菌やウイルスに汚染されているかもしれない食事。
自分が食べている食事も、髪の毛を取り除いただけのものだとしたら・・・そもそも気持ち悪いですよね。
4. 調理スタッフの体調や身だしなみを確認しよう

食事をつくる調理スタッフの体調が悪かったり、身だしなみがきちんとなっていないのも、食中毒を引き起こす要因のひとつです。
下痢はおこしていないか?
マスクや帽子は正しくつけられているか?
爪は短く切っているか?
ピアスや指輪など、不要なものはつけていないか?
制服はきれいなものを着用しているか?
委託給食会社の栄養士は把握しておく必要があります。
委託給食会社の大部分の現場において、栄養士が現場のトップとして配置されています。
つまり、栄養士は現場での最終責任者です。
そのため、栄養士は調理スタッフの健康状態や身だしなみが守られているか、チェックする必要があります。
栄養士1年目の仕事:献立をつくり栄養管理する

委託給食会社は、施設によって献立の立て方が異なっていきます。
理由は、施設の要望を取り入れながら、献立を作成していくためです。
そのため、栄養学的には問題なくても、大学で学んだことが通用しないこともあります。
・週に1回は麺類と丼物を入れてほしい
・麺類は職員の都合で、行事食以外は昼にしてほしい
・果物は朝か昼に入れてほしい
・ニラはにおいが強いから使わないで
・1日の中で、同じ食材が重ならないようにしてね
私が過去に働いていた施設で、実際に要望を受けていた内容です(^^;)
他にも細かな条件がありますが、こういった内容を取り入れながら、栄養バランスの取れた献立をつくっていきます。
最初は調理現場で盛り付けなどをしながら、「今日の献立は何に気を付けているのかな」「こういうバランスで立てたら、この施設に合うのかな」と考えながら作業することをおすすめします。
先輩栄養士から「献立をしてみよう」と声をかけられたとき、絶対にその経験が役に立ちます!
栄養士1年目の仕事:食材料費や人件費の管理

『コスト管理』と呼ばれる、食材や消耗品の発注、職員のシフト作成の仕事になります。
1年目では、食材や消耗品発注に携わることが多いです。
中でも食材は、どの施設も毎月会社から予算が決められているため、それに沿って発注する必要があります。
もとを辿れば、献立作成のときに予算に注意しないといけないわけですが・・・。
発注のときに気を付けないといけないのが、「在庫がどれだけあるか」です。
食品庫や冷蔵庫・冷凍庫に食材があまっているのに、新しいものを次々と発注すると、どうなりますか?
「先入れ・先出し」が大変になりますよね。
二重開封になったり、期限切れが出てくる場合もあります。
無駄のないように発注するのも、栄養士の大事な仕事です。
まとめ:委託給食会社の栄養士1年目は基礎を学ぼう!

委託給食会社の栄養士1年目は、栄養士としての基礎を学ぶ大切な時期です。
衛生管理・栄養管理・コスト管理のすべてが繋がっており、どれも仕事として重要になります。
現場の仕事をしながら、栄養士としての仕事を覚えるのは、正直大変です。
ですが、1年目を乗り越えれば、徐々に栄養士としての仕事が増えていきます。
まずは『栄養士1年目』という立場をうまく使って、分からないこと、知らないことをどんどん覚えていきましょう!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。